栄養状態が悪い無症候性心疾患の方は、生命予後に悪い影響がある
今の職場において、低栄養による健康への影響ってどんなことがあるのか調べたので、振り返り。
【まとめ】
http://www.cardio.med.tohoku.ac.jp/class/pdf/2013-13.pdf
タイトル : 無症候性心疾患を有する患者における栄養状態による予後への影響
追跡期間の中央値2.89年において、
Patient : 日本東北地方、無症候性心疾患(ESC / AHA / ACC分類 StageB ) 3,421名(Mean age : 66.9 ± 12.7 歳、Male 71.6%)は、
Exposure : CONUT Score ≧ 3だと、
Comparison : CONUT 0 - 1と比較して
Outcome : 全死亡率が増加 ( ハザード比 : 1.99, 95% 信頼区間 : 1.39-2.85, P < 0.001)
【感想】
心疾患における栄養は、二次予防の視点から減塩、水分摂取制限に目がむいてばかりなので、新鮮に感じます。
心疾患の低栄養は、2014年に神奈川心不全栄養研究会や関西心不全栄養研究会が発足され、近年注目されてきている領域です。
医学書院/週刊医学界新聞(第3146号 2015年10月19日)
7月22日に参加した心不全栄養フォーラムでは、心不全の複雑さと心不全の栄養の難しさを感じました。
【論文から】
東北大学医学部附属病院循環器内科で行っているCHART-2 Studyです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/6/101_1715/_pdf
CHART-2 Studyは、東北地方の多施設規模の研究で、冠動脈疾患や慢性心不全を対象とした前向き研究です。
多くの研究発表が行われている中から、栄養状態による予後への影響を検討した前向き研究を紹介します。
さて、本題
タイトル:無症候性心疾患を有する患者における栄養状態による予後への影響
Patient:日本東北地方、無症候性心疾患(ESC/AHA/ACC分類StageB)3,421名(Mean age: 66.9 ± 12.7 歳、Male 71.6%)は、
Exposure:CONUT Score≧3だと、
Comparison:CONUT0-1と比較して
Outcome:全死亡率が増加([カテゴリ変数として]ハザード比 : 1.99, 95%信頼区間 :1.39-2.85, P<0.001)
サブ解析結果によると、70歳以下は増加しないが、70歳以上(P=0.49)でConut Scoreの1ポイント増加毎に心不全入院率が17%増加することが示された。
結論として、最近の無症候性心疾患を有する患者において、栄養状態の悪さは、全年齢において死亡率の増加と、高齢者において心不全入院に関連している。
【おまけ】
CONUT Scoreのスコア評価方法は、下図の通り、血清アルブミン、総リンパ球数、総コレステロールから評価します。
本論文でのCONUT Scoreの分布
勉強不足で、比較対象がないから、なんとも言えないです…