とがめも

巨人の肩に立つ。民間病院の看護師、大学院生。すぐ忘れるので、学習置き場として

Purple Day in仙台

大学院での中里先生の講義で知った「てんかん」に対する偏見と、これに対する中里先生のアウトリーチ活動。

「わかりやすさ」と「熱意」を肌身で感じた思いです。

 

中里先生との出会いや、なんでもない日が社会へのアプローチの象徴の日だと知ったことは、大学院に入学してよかったと思う事柄の1つです。

ありがとうございます!

 

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オススメ本

いつも刺激をもらっている方から、オススメ本の紹介がありました、

 

その中から一冊購入したら、第1講の質疑応答から、素晴らしい解説でしたので、紹介します。

 

 

短期集中! オオサンショウウオ先生の 医療統計セミナー 論文読解レベルアップ30 https://www.amazon.co.jp/dp/4758117977/ref=cm_sw_r_cp_api_H-6FAbTPF4G14

 

 

その方のブログはこちら。

http://yuito33.hatenablog.com/entry/2018/02/06/191052

この方は、バックグラウンドは看護師で、現在はハワイで疫学者をされているようです。

いつかお会いしたいと思っている1人です。

心不全と認知機能障害に関するレビューの一部

心不全を有する高齢患者における、認知機能障害有病率は高い。

紹介バイアスがありますので、ご参考程度に。

 

• 今回のレビュー結果から、入院心不全高齢患者における認知機能障害有病率は、27.6~76.5%であった。

• 入院心不全高齢患者は、65歳以上地域住民と比較して、認知機能障害有病率が高い(下表参照)。

• 基準として、日本の65歳以上地域住民から無作為に抽出して協力を得た1341名を対象とした調査から、認知機能障害(MMSE<24)有病率10.8%(143/1319名)を示す。(粟田ら,2015.)

心不全の有無と認知機能障害を検討した4つの症例対照研究結果から、心不全は認知機能障害を67%増加させたことが示されている(OR1.67,95%CI:1.15-2.42)。(Cameron J, J card Fail,2017.)

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認知機能障害と心不全、イタリアカンパーニュ地方における大規模観察研究

認知機能障害と心不全について、改めて文献レビューを行ったので、その一部を振り返り。

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JAGS 46:1343-1348,1998

Journal of American Geriatric Society

IF4.38

 

【要約】

Setting:南イタリアにあるカンパーニュ地方

D:横断研究

P:地域住民及1075名、73.9±6.2歳、女性55.3%

E:Present of CHF群は

C:Absent of CHF群を比較すると、

O:認知機能障害の有病率が高かった(56.8% vs 20.0%,p<0.001)。

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【結果】

①有病率について、心不全8.2%、認知機能障害23.0%であった。

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②認知機能障害群は、非認知機能書具合群と比較して、心不全の有病率が多かった(20.2% vs 4.6%, p<0.001)。

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心不全群は、非心不全群と比較して、認知機能障害の有病率が高かった(56.8% vs 20.0%, p<0.001)

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心不全があると、認知機能障害発症リスクを1.96倍促進させる(OR1.96, 95%CI:1.07-3.58)。

教育レベルが良いと、認知機能障害発症リスクを0.45倍低減させる(OR0.45, 95%CI:0.39-0.51, p<0.001)。

 

 

【感想】

①20年前の論文だけど、日本の教育は、海外と比較して、保証されているんだなと感じた。今回の論文の平均的な教育レベルが3.4±1.7と衝撃的だった。

3.4は、公的教育機関に通学経験はないが読み書きできるレベル〜日本で言う小学教育レベル。

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②PresentとAbsentの訳がわからない。たぶん、心不全のステージの違い?AHA/ACC分類のステージBorCってことか?

③多変量解析、重回帰分析結果を、参考書を読みながら、解釈できるようになってきたように感じる。日々訓練ですね。

 

注目されているCaregiverに対する指導による、再入院抑制

認知機能障害についての学習が面白くなってきました。

文献レビューの際に読んだ面白かった内容を紹介します。

高齢者に対する認知機能障害と再入院率、患者および家族やCaregiverに対する教育の効果についての検討です。

 

 

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27676328

 

【雑誌情報】

Journal of american geriatric society

IF=4.8

 

【要約】

D:1年間の前向きコホート研究

S:心血管疾患に集中した三次救急医療で、退院に関する個別指導を行っている

P:70歳以上の退院前にスクリーニングされた患者において、

C:121名の心不全患者(78.9±4.8歳、男性63%)は、

O:120名の非心不全患者(78.2±5.6歳、男性57%)と比較して、

O:認知機能障害(Mini-Cog<4)の有病率は、似た傾向であった(67.7% vs. 62.5%)。

 

認知機能障害を有する心不全患者は、その他の群と比較して30日間での再入院率が高かった(26.8% vs 13.2%;P=0.01; HF and noCI, 12.8%;noHF and noCI, 13.3%;noHF and CI)。

認知機能障害を有する心不全患者において、Caregiverへの退院指導を行った場合、他の群と比較して再入院率が低下した(14.3% vs 36.2%, P=0.03)

医師の診療録への認知機能障害に関する記録があったのは、9%以下であった。

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Mini-Cogとは?

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/tool_01.pdf 

 

【感想】

認知機能障害を有する心不全患者に対する、Caregiverへの退院指導の再入院抑制の効果についての調査結果でした。

最近注目されているCaregiverへの介入。

日頃気にかけていることだが、検証されていたとは。

 

方法の部分には、認知機能障害を有する心不全患者に対してCaregiverへの指導を行ったと記載されているのに、なんだか結果は指導していない患者との比較?

なんだか疑問の残る内容でした。

心不全、認知機能と身体機能回復について

心不全を有する患者における、認知機能と身体機能回復についての検討を読んだので、振り返り。

 

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3544314/pdf/RERP2012-218928.pdf

 

【雑誌】

Rehabilitation Research & practice Print

Impact Factor:不明

 

 

【要約】

D:非無作為化介入研究

Setting:イタリアローマにあるIRCCS San Raffaeleの心臓リハビリ病棟

P:80名(72.6±10.6歳、男性66.3%)6週間の有酸素心臓リハビリを行った心不全を有する入院患者において、

E:MMSE低い群(16-23)は、

C:MMSE高い群(23-30)と比較して

O:6分間歩行距離の増加量が低い。
運動機能低下を予期(参加者全体OR:1.84, 95%CI:1.50-2.18、女性OR:1.42,95%CI:1.22-1.75、男性なし)

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運動療法のプログラム】
強度:50〜70%MaxVO2
時間:30-60min
頻度:6days/Week
期間:6week

 

【感想】

認知機能に関しては、わからないことだらけ…

認知機能評価に関しては、読み始めで、評価の解釈がわからない。

交絡因子も想像つかず、影響に関しても分からない。

困った。

 

運動強度高いのでは?

期間短いのでは?

【メタ解析】高齢者のサルコペニアは、生命予後と身体機能予後に大きく影響を与える。

サルコペニアに関するメタ解析を読んだので、振り返り。

生命予後への影響は3.6倍、身体機能低下の危険性は2.6倍。

 

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D:観察研究のメタアナリシス、

F/U:0.25-10年間

P:60歳以上の老年患者

E:サルコペニアであると、

C:サルコペニアでない患者と比較して、

O:全死亡率(OR=3.64, 95% CI=2.94 to 4.51)[12 studies, 14,169 participants] 、身体機能低下 (OR=2.58, 95% CI=1.33 to 4.99)[6 studies, 8561 participants]

 

サルコペニアの有病率は、4.3-78%。

診断基準は、EWGSOPによるサルコペニア診断基準を用いている。

英語版; https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2886201/pdf/afq034.pdf

日本語訳; https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/sarcopenia_EWGSOP_jpn-j-geriat2012.pdf

 

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【Journal情報】

Experimental Gerotology

IF=3.8 

 

 

【感想】

生命予後への影響は3.6倍、身体機能低下の危険性は2.6倍。大きい!

 

BIAについて考えると、単純に体脂肪と除脂肪体重(水分・筋肉)にわけるだけなのか…

次にやること、心不全を有する患者におけるBIAのLimitation、BIAでのサルコペニア診断に関する論文を探す。