とがめも

巨人の肩に立つ。民間病院の看護師、大学院生。すぐ忘れるので、学習置き場として

入院高齢者の生命予後規定と身体機能検査

低栄養と身体機能の関連について検索して行き着いた。という経緯だったと記憶している。

おまけとして、調査機関の所在は、アジアでいうハワイみたいなところ。

 

【結論】

低栄養は頻繁であり、死亡率と関連していた。

しかし、もっとも予後を説明した因子は身体機能検査であり、それは「6分間歩行試験ができない」「握力が低い」ことであった。

身体機能検査は、それぞれ密接に関連しており、栄養状態と相関した。

ABIの低下は、栄養状態の障害、身体機能検査、死亡率と関連していた。

Muscle malnutrition was frequent and was related to mortality, but the best predictors were physical function tests: inability to perform the 6MWT and low handgrip strength. Function tests were closely related to each other and correlated with nutritional data. Reduced ABI was related to impaired nutritional status, physical function tests and mortality.

 

 

 

 【論文の内容】

f:id:shintarotogashi:20171023100703p:plain

https://www.nature.com/articles/srep07530.pdf 

Scientific Reports

IF:4.25(2016)

 

 

Aim:身体機能テスト(起立、HGによる筋力測定と6MWT)による客観的評価、身体測定による筋肉量測定から、予後評価を行うこと。

さらにABIによる低栄養、身体機能低下、予後の関連を評価した。

D:後ろ向き症例対照研究

T:平均追跡期間808±40日間

P:連続310名。大学病院内科に入院した60歳以上の入院患者(61-99歳、男性51%)

E:全死亡

C:生存者との比較して

O:全数として、入院中に13.2%(41名)が死亡。観察期間内に全死亡率49%

①入院中の短期予後規定因子

「6分間歩行試験できない」OR4.26[95%CI:2.05-8.87]

「客観的栄養スコアSNS>2(4点が最大で点数が多いほど低栄養)」OR2.21[1.01-4.81] 

 

②退院後の長期予後規定因子

「歩いて退院できない」HR3.31[95%CI2.15-5.10]

「6分間歩行試験ができない」HR2.95[95%CI:1.90-4.57]

「客観的栄養スコアSNS>2(4点が最大で点数が多いほど低栄養)」HR2.29[1.38-3.78]

 

f:id:shintarotogashi:20171023103827p:plain

 

③客観的栄養スコアSNSと握力は、弱い負の相関がある(r=-0.214)

④客観的栄養スコアSNSと6分間歩行距離は、弱い負の相関がある(r=-0.206)  

f:id:shintarotogashi:20171023104004p:plain

 

 ⑤多変量解析結果からは、生命予後と「6分間歩行試験ができない」「がんであること」が関連している。

f:id:shintarotogashi:20171023104425p:plain

 

 

 

 

 

【Sampling Flame】

スペイン、カナリア諸島自治州の大学病院、内科病棟へ入院した60歳以上の高齢者連続310名

 

どんな背景の場所なのか?

引用元→https://4travel.jp/travelogue/10546807

無人島を含む13の島から成り、大きな島は7島、
四季を通じて温暖なため、ヨーロッパのリゾート地で
特に冬は北欧・ドイツ等からのツーリストや
リタイアした人々の長期滞在者が多いそうです」

f:id:shintarotogashi:20171023101704p:plain

 

【感想】

低栄養と身体機能に弱い負の相関があった。

調査機関の所在がリゾート地であり、欧州からの退職後の移住も多いみたいだから、対象も単独国籍だけではなさそう。アジアにおけるハワイみたいなところ?

私が症例対照研究の読み方に慣れていない(OR、PR、HRの違いが分からない)ことがわかった。

多変量解析結果も読み方に慣れていない(重回帰、Coxなどの内容面もまだ…)。

Subjective Nutritional Score(SNS)、Charlson Indexなど耳慣れない評価指標があった。欧州では標準なのか?